腰痛の根本改善には運動療法が重要です

筆者 磯野正吾 柔道整復師 JRFUトレーナー/WELLPORT代表

 

こんな腰の悩みはありませんか?

「ずっと腰痛持ちで改善をあきらめかけている」
「出産や育児をきっかけに腰痛が治らない・・・」
「何回も同じような治療を繰り返している。治療効果も2~3日も続かない。」

といった方へ腰痛の原因からひも解く治し方を紹介します。

参考になると幸いです。

結論

①腰椎の動きすぎ→サボっている関節を動かす
②姿勢が悪い→弱っている筋肉の活性化
③体幹がよわい→インナーマッスルの強化

腰痛について

椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、すべり症など病名を診断される腰痛は全体の約15%とされています。残りの85%は原因不明と言われています。

もしかするとレントゲンを撮ってもMRIを撮っても異常は無いと言われ湿布や痛み止めを処方されて終わるという経験をされた方もいるのでは無いでしょうか。

ギックリ腰になると2〜3日は動けないし、慢性的に痛みを抱えている方は日常生活が制限され、家事や育児、仕事に追われなかなか改善する見通しが立たない厄介な負のループに陥ってしまっている方も多いのでは無いでしょうか。

なぜ起こるのか?腰痛の原因

①腰椎の動きすぎ

腰が痛い…その理由のほとんどは腰が動きすぎているからです。
腰椎と呼ばれる背骨は捻りの動きにとても弱く、捻れたまま前後左右、捻りの動きなどを行うことで腰椎と腰椎の間の靭帯や筋肉、椎間板と呼ばれるクッションなどが痛みます。

・腰椎の可動域

図で表す通り、腰椎は捻りの動きをほとんどしません。
捻りの動きが小さいということは先ほど述べたように捻りの力に弱いということ。
回旋を矯正することで痛みが強くなることもカンタンに想像できますよね。
では、回旋の動きをどこがすべきなのか、それは股関節や背骨の上側(胸椎)になります。

・捻れは放っておかない

股関節や胸椎の回旋の可動域が不足している場合や左右の差があり、自分では気づかないほどの捻れを放置した状態で長時間動いたり、長い時間過ごすと回旋のストレスにより、腰椎や周りの組織に過度の負荷がくわわっていることになります。

②姿勢が悪い

悪い姿勢には大きく分けて2つのタイプがあります。

骨盤が前方にシフトしているタイプ

骨盤が後方にシフトしているタイプ

腹筋が弱り前方に骨盤がシフトしていることで腰椎の後方で圧縮のストレスが加わりやすく、のちほど説明する椎間関節性腰痛などのトラブルとなる。
背筋が弱り後方に骨盤がシフトしていることで腰椎の前方に圧縮のストレスは加わりやすく、のちほど説明する椎間板性腰痛などのトラブルとなる。

③体幹が弱っている

体幹を強くすることで姿勢を正して、腰椎を守る体の体幹(コア)システムは様々な原因で機能低下を引き起こします。

・脳の疲労
・怪我の既往
・呼吸様式
・運動不足など

いわゆるインナーマッスルには多裂筋、横隔膜、骨盤底筋、腹横筋があります。
これらの筋肉が腹腔内圧(IAP)を高めることで体を支えます。

 

人体における骨格構造の弱点はお腹周りにあります。

骨盤は大きく頑丈で胸周りは肋骨があるため頑丈です。
それに比べてお腹周りは骨格がなく、腰椎のみで支えられています。
機能低下により外乱や衝撃に弱く、腰椎には多大なストレスを与えてしまいます。

簡単なエクササイズを15〜20分程度行うことで、インナーマッスルが活性し、腹腔内圧を高めた体の支持ができます。

特に横隔膜は重要でこの筋肉が引き下がることで腹腔内圧が高まります。
これにより体幹機能の改善がみられ、痛みの解決が見込めます。

代表的な腰痛のタイプ

もしかしたらこれかな?と思ったら専門家に見えもらいましょう。

筋・筋膜性腰痛

筋肉や筋肉を覆う筋膜が腰痛の原因になっているパターンです。

姿勢を維持する抗重力筋や体のコアを支えるインナーマッスルであるDFL(ディープフロントライン)と呼ばれる筋膜の繋がり、胸腰筋膜などが原因されています。
これらは姿勢を維持したり、重いものを持ち上げたりする際に負荷が生じます。

場合によっては咳やくしゃみ、立ち上がりなど、日常生活のふとした場面で痛めてしまいます。
日々の反復性の負荷により筋肉や筋膜は容易に損傷するため、日々のメンテナンスやストレッチ、
早めに段階(違和感や疲労感)でケアすることでギックリ腰の予防にもなります。

椎間関節性腰痛

背骨の腰椎〜仙骨にかけての前弯(反る)が増強し、捻れたり強い圧縮ストレスが加わることで発症します。背骨は一つ一つの間に関節を成しており、
そこに痛みのセンサーである侵害受容器が存在します。
このセンサーが力学的ストレスによる疼痛の発生源となり痛みを引き起こしています。

椎間関節に炎症が発生すると神経根と呼ばれる下肢や骨盤周囲に分岐していく神経の根本に波及し、下肢痛を惹起する場合もあります。

成長期(13〜15歳)に多い分離症(腰椎の疲労骨折)は椎間関節へのストレスが動作や姿勢を強いられ、未発達な骨にまで負荷が加わる事で発症します。
発見が遅れ、慢性期になると折れた骨片は癒合せず、加齢と共に腰椎すべり症へと移行する場合もあります。

10代のスポーツを盛んに行っている学生はこの早期発見予防が重要です。

椎間板性腰痛

椎間板を構成する繊維輪、髄核、あるいは椎体終板の神経が刺激されて生じる腰痛です。

一般的には腰を曲げた時(前屈)座位椎間板内圧が上昇し腰痛が出現・増強します。
この椎間板は本来多くの水分を含有するゼリー状のものと言われていますが水分不足加齢により水分含有量が減少していきます。
主に下位腰椎(L4〜S1)に多い病態と言えます。

また、腰椎椎間板ヘルニアは働き盛りの男性に多く(男女比約3:1)このような動作や姿勢を繰り返すことで主に椎間板の前方に圧縮力が加わり、髄核または繊維輪が後方へと突出することを指します。

後方に突出することで神経の圧迫が起こり坐骨神経痛等の下肢や骨盤帯への症状が合併します。

睡眠水分などの生活習慣の工夫や体の使い方を学習することで予防・改善につながります。

腰部脊柱管狭窄症

腰椎部において退行変性(主に加齢)による椎間板や黄色靭帯、椎間関節と呼ばれる組織周囲の変性や
それに伴う肥厚により神経根や中枢神経の末端の馬尾と呼ばれる神経が慢性的に圧迫を受け、
下肢痛痺れ、あるいは運動麻痺、感覚障害と言った症状が起きている病態のことを指します。

主な症状として間欠性跛行(カンケツセイハコウ)が見られます。歩行により症状が出現・増強することで
歩行継続が不可となり前屈位や短い休息により歩行が再開できるといったものです。

これは末梢血管の病気でも起こりうるため十分な鑑別が必要です。

体幹機能の向上や腰痛に対するエクササイズ、ケア等が予防につながります。

おさらい!腰痛改善のポイント

・サボっている関節を動かす
・弱っている筋肉を活性化し、姿勢を整える
・インナーマッスルを強化し、腹圧を高める

今の治療院はあなたの症状にあってますか?

腰のマッサージや電気のみではではその場しのぎになりやすい。

→先ほど解説した腰痛改善のポイントは
・サボっている関節を動かす
・弱っている筋肉を活性化し、姿勢を整える
・インナーマッスルを強化し、腹圧を高める

どれもマッサージ電気療法では事足りないことがほとんどだと思います。
運動療法やトレーニングまで処方できる治療院を探すのがオススメです。

カイロプラクティックの資格を保有していない整体や整骨院でのポキポキ整体

カイロプラクティックの資格を保有していない整体や整骨院でのポキポキ整体はオススメできません。

前述したように、腰椎は捻りの動きが小さく、回旋方向の力に弱いこと。

ポキポキ整体は回旋方向にグッと捻るため、SNSで話題の動画やYOUTUBEで見るようなポキポキ整体は危険が伴っています。

カイロプラクティック専門でされている治療院は確かな技術と根拠に基づく施術になるためご安心ください。
資格の有無はなかなか聞きづらく、分かりにくいので、ホームページなどでカイロプラクティックの免許や専門とうたっていないところは控えるのが無難です。

よくある質問

病院や整骨院でのリハビリを受けていますが、併用は出来るのでしょうか?

はい、出来ます。当店は自費での施術になるため、同日のご利用も可能です。
しかし、骨折や内科的疾患等で病院への受診をしている際は当店への利用の旨を主治医へご相談していただくことを強くオススメします。

腰痛の発症、再発が心配だが、現在は無症状でも利用可能ですか?

はい、もちろんです。 大切なのは予防ですので、症状が出る前にメンテナンスやトレーニングをすることが最も大切です。
あなたの習慣や体の状態に合わせた施術、トレーニングをオーダーメイドにて提供いたしますのでご安心ください。

整形外科で骨に異常がなく原因が分からないと言われた私の腰痛は改善しますか?

必ずしも改善します。とは言い難いですが、病院でのレントゲン検査では上記のような腰痛の病態は発見出来ないことがほとんどです。
しかし、病院でのレントゲン等で癌や感染症、骨折による腰痛の可能性が除外されているかとは思いますので、当店で充分な問診・検査を行った上で疑わしい疾患や改善の見込める施術やエクササイズを行なっていきますので、まずは当店へお立ち寄りください。

腰痛による痺れや下肢の痛みは改善しますか?

改善することもあります。 神経は牽引や圧迫に弱く梨状筋症候群と呼ばれる坐骨神経痛等は改善が見込めます。
脊柱管狭窄症やヘルニアなどによる組織の変性による痺れや下肢痛は改善しない場合があります。
また、尿失禁や排便困難など膀胱直腸障害が見られた場合は必ず手術の対象となります。